英単語を覚えさせるとき、ピクチャーカードはとても便利な道具です。絵を見せると、子供たちは自然と先生の方を注目するので、すんなりとレッスンを始めることができます。
もちろん子供たちの注意をひくことはピクチャーカードを利用する理由の1つです。しかしピクチャーカードの使用にはもっと重要な目的があります。
それは『英語を英語のまま理解する直読直解能力を身につけさせる』ということです。
例えば"cucumber"という単語を例にとってみましょう。
先生が「"cucumber"というのは英語で『きゅうり』という意味だよ。」と説明し、子供が「なるほど、"cucumber"は『きゅうり』のことか。わかったわかった。」と納得したとしても、これは英語を英語のまま理解したことにはなりません。子供は"cucumber"という単語を日本語を介在して理解したに過ぎないからです。
日本語という言語がなくても英語は英語だけで存在するわけですから、これでは"cucumber"という単語を本当に理解したことにはならないのです。
英語を英語のまま理解するとは、"cucumber"という単語を見た瞬間に「きゅうり」のイメージが頭に浮かぶことです。これが直読直解です。
英語を流ちょうに話せる人の頭の中では、日本語と英語が並列に並んでいる感じです。彼らはきゅうりを見たとき、日本語脳の方では「きゅうり」、英語脳の方では"cucumber"、という単語を思い浮かべます。その両者に、理解度の優劣がまったくない人がいわゆるバイリンガルです。
目指すはこのようなバイリンガル脳です。
バイリンガル脳を作るには物事を見て、即座に日本語が介在する前に英単語を言うトレーニングをする必要があります。それには多数のピクチャーカードを使ったレッスンやアクティビティが効果的です。
英語学習の初期にそのような訓練をしておくことによって英語脳のベースが作られます。そして、後により抽象度の高い単語や複雑な英文を学ぶ際にも、英語を英語のまま理解しようとするようになるのです。